月光十四
『流れ出たものは又元にかえると申してもそのままでは帰られんのであるぞ
天から降った雨が又天に昇るには形をかえるであらうが』

私らの全てが神から流れ出たとは云へ
今のままの私らでは絶対に神には還れない
その為に身魂の掃除洗濯がある

私らは神からの流出と
神への回帰を繰り返す
寄せては返す波のやうに
或いは呼吸のやうに

其の神からの最外縁に此の物質界はあるのだと云ふ


或いは…此の帖は
もっと端的に生と死を示すのかもしれない

天から生まれて死を潜り抜けて天へと帰る

死の彼方から生まれ来た私らが
再び死を過ぎて彼方へと帰る

けれども此の物質的身体…肉体のままでは帰れないので
私らは形を変へる
つまり肉体を離れる

人は其れを死と呼び
脅威や恐怖の最上位の一つに置く


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